台湾の最新AIoTが未来都市へ、智慧城市展

展示会

2021智慧城市論壇暨展覽(Smart City Summit & Expo)

台湾の都市IT化は、日本の数倍の速さで進んでいます。台湾政府は、行政システムのデジタル化を特に重点的に進めており、都市設計にもそれを反映させています。台北南港展覧館では毎年「智慧城市展」が開催され、「IoT(モノのインターネット)」をキャッチコピーに台湾の最新技術が発表されます。今年は、その「IoT」に「AI(人工知能)」を組み合わせた「AIoT」が新たなキーワードとして、より速く、より正確なサービスシステムが多く展示されていました。台湾の各都市が提案する独自の近未来サービスを体験してきました。



新型コロナ肺炎の流行で注目される台湾

新型コロナ肺炎に対する台湾の対応は、その実行スピードにも注目されています。それは、台湾が開発した最新のIT技術に支えられています。例えば、健康保険証によるマスク販売管理や海外からの入国者の厳密な行動管理などに、スマートフォンやアプリも使って対策が施されていました。そんな台湾の各都市が構想をする未来都市はどのようなものでしょうか。台北市、桃園市、新台北市、高雄市のブースを順番に紹介いたします。

台北市ブース

毎回大がかりな展示を見せてくれる台北市です。横浜パシフィコと同じ大きさの南港展覧館の展示スペースの3割を占めて、2つの大ステージ、約20の小ブースが披露されていました。昨年に続き、「顔認証システム」と「自動運転バス」が注目を集めていました。

AI顔認証システム
AI顔認証システム 高度なディープラーニング AI技術を採用した顔認証エンジンで、屋外においても認証精度が特に優れているそうです。私がカメラの前に立つと、一瞬で顔認証が完了しました。ブースを見ている人が1人々々モニターに表示され、突然、私の顔が大写しされて驚きました。時節柄、マスクを着用しているかどうかチェックする機能も新たに付いていました。

自動運転バス
2年前既に、同じ大きさの自動運転車が、実際に展示会会場を走行していました。その時にはまだ、車内に係員が同乗して乗客の安全を守っていました。スピードは人が歩くより少し速いくらいで、遊園地の乗り物のような印象でした。今年は、車内が密室になるので、残念ながら乗車体験はなく展示のみでした。でも、外観は、少し丸みを帯びてかわいいデザインに変わっていて、いよいよ街に出動する準備ができたようでした。台北では、オシャレじゃないと街に出られないのです。冗談です。

桃園市ブース

台北市から約30Kmの桃園市には、台湾最大の国際空港があります。そのため、この展示会で毎年空港を中心としたプロジェクトを展示しています。今年は、新しく開発されたAIoT拠点を紹介していました。ここはアジアのシリコンバレーを目指しているらしく、IT技術者を養成する専門学校も入っています。カリキュラムはAI、UI、AR/VR、自動運転と最新の技術満載がでした。建物はほぼ完成しており、南港ソフトウェアパークのような、大規模な開発拠点を目指しているそうです。

ASVDA
Asia.Silicon Vally Innnovation and Research Center 「 亞矽創新研發中心」
https://www.asvda.org/chi/index.aspx

新台北市ブース

新台北市は、台北市を囲むように隣接するベッドタウンです。人口は台北市よりも多く交通システムが充実しており、毎年、新しい輸送システムを見せてくれます。今年の新台北市のブースには、運動体験ゲームと警察の射撃トレーニングに人が集まっていました。VRは、台北の電脳街でもゲームとしては下火になりつつありますが、都市開発のデモンストレーションや、運動の住民への啓蒙など、実際に役立つように使われ始めています。

健康管理の一環として、ランニングとジャンプを合わせたVRゲームが行われいます。モニターを見ながら、ジャンプとバンザイを繰り返します。アニメーションとアクションが一致すると得点が入り、景品がもらえます。

新台北市警察で実際に使われている射撃訓練シミュレーションシステムです。体験もできました。私は、この写真をTwitterにアップロードしたら、非表示になってしまいました。センシティブな内容だと認識されたようです。

高雄市

高雄市は台湾で2番目の大都市であり、災害対策が大きなテーマになります。台湾では日本と同じく、地震と台風による被害が危惧されています。高雄市のブースでは、AIを組み合わせた新しい災害対策のシステムを実演していました。大規模災害時に、熱と音波を組み合わせて瓦礫に埋まっている人間を見つけるシステムです。生き死にに関わらず見つかります。

高雄市政府の職員さんが、寝転がってデモストレーションしていました。

まとめ

智慧城市展(Smart City Summit & Expo)は、毎年海外からの出展もあり、華やかなイベントとなっています。今回は入国制限のため、台湾国内の都市のみの展示になりました。しかしながら、その展示内容は、最新のIT情報と近未来システムで溢れており、非常に見ごたえのある展示会でした。私が観覧した3月26日は、最終日にも関わらず、大勢の人が入場券を求めていました。新しい技術に対する台湾人の関心の深さが伺えました。今回の展示で、私が一番注目したのは、桃園ブースで見たアジアのシリコンバレーこと「亞矽創新研發中心」です。将来、どんなAIoT製品が創りだされるのか楽しみになりました。

開催情報
Smart City Summit & Expo
開催場所と日程
http://smartcity.org.tw/index.php

開催日:2021年3月23日~3月26日
場所:台北市、南港展覧館2館

主催:臺北市政府、桃園市政府、高雄市

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