現在、台湾のドラッグストアは、ローカルチェーン店と日系チェーン店で新規出店を競っています。私が台湾に来た数年前には、商店街にひっそりと店舗を構えていましたが、今ではモール、デパート、駅ビル、バスステーションなど、あらゆる場所に進出しています。もともと台湾では日本の市販薬や健康食品が受け入れられており、日本旅行のおり大量に購入されておりました。渡航できない現在、「マツキヨ」を代表とする日系ドラッグストアの売り上げが好調です。2021年、台湾ドラッグストアの現状をレポートいたします。
やっぱり日本人も台湾人もマツキヨが好き
「台灣松本清」https://www.matsumotokiyoshi-tw.com
2018年に「台灣松本清」の台湾1号店が、台北市の大安(ダーアン)にオープンしました。その頃、台湾人の日本への旅行者が増大し、日本の「マツキヨ」で爆買いする観光客が多くいました。その知名度の高さから、台湾1号店の開店時には大変な騒ぎでした。2021年現在、台北市を中心に17店舗を展開しています。
「台灣松本清」では、化粧品や洗剤、お菓子、インスタント、レトルト食品、健康食品など、日本の物がメインに販売されています。他の日系ドラッグストアに比べて、日本製品の種類の多さが群を抜いています。私の知人の日本人も、台湾でのドラッグストアは「台灣松本清」に限ると言っています。コロナ禍で渡航できない状況の今、在住日本人、台湾人問わず「台灣松本清」に集まります。
化粧品などの美容製品:
日本の化粧品はもちろん、シャンプー、トリートメント、カラーリング剤の種類が豊富です。他の日系ドラッグストア店では見かけないブランド物の化粧品も並んでいます。もちろん日本で買うよりは価格が少々高くなりますが、すぐに入手できるので大変便利です。
洗濯洗剤、掃除用洗剤:
日本と台湾では衛生観念が少し異なります。他のチェーン店では、カビ取り・漂白剤の種類が少なく・・というより、ほとんど販売されていません。マツキヨには、日本製の掃除用洗剤がしっかり売っています。食器用、掃除用、衣類用と用途別の洗剤があります。台湾花王製の「花王新奇(ハイター)」は、食器と衣類の漂白、住まいの消毒にも使えますが、私は台所洗剤と洗濯洗剤は分けて使いたい派です。

台湾で購入できる代表的な漂白剤、花王製
カップ麺、袋ラーメン:
日本から台湾に戻り「*自宅隔離」の家族のために、カップ麺や袋ラーメンを買っていました。自炊が苦手な人にとって、インスタント食品の味は重要です。慣れた日本の味でないと辛いそうです。手軽に豊富な日本のインスタント食品が購入できるマツキヨは本当に助かりました。
*自宅隔離についてはこちらの記事をお読みください。
【自宅検疫】隔離者家族の生活ブログ(準備編):1週間分の食事を用意
松本清では日本と同じ商品を買えることが嬉しい。
ドラッグストアに限らず台湾に進出してくる日系チェーン店は、現地に合わせようと必要のない工夫をしていることが多いのです。「台灣松本清」は、店舗の作りも、並んでいる商品も日本とほぼ同じです。下手に台湾製品を並べたり、台湾風のサービスを取り入れたりしていません。そこが台湾人や台湾在住日本人に受けています。日本に行けない今は、いっそう日本風が好まれます。やっぱり多少高くても日本の物が買いたいですよね。
その他の日系ドラッグストア
「Tomod’s(特美事/トモズ)」 https://www.tomods.com.tw
2012年に台湾に進出してきた「Tomod’s」は、日系ドラッグストアの先駆けとも言えましょう。現在は、台湾全土に23店舗を構えています。日本のプチプラコスメを中心に、お菓子や健康食品も販売しています。今年の春に、台湾の中堅スーパーマーケットの「シンプルマート」と業務提携を発表しました。今後は生鮮食料品とドラッグストアの複合店を展開していく予定だそうです。残念ながら化粧品とお菓子以外の日本製品は少な目です。
Tomod’s(台北市南港中信店)の店構え。我が家の近所に店舗があり、私が一番多く利用しているドラッグストアです。
「札幌薬粧(サツドラ)」https://www.facebook.com/satudora/
この札幌薬粧(サツドラ)は、私は日本で見かけたことが無く、台湾で知りました。台湾のドラッグストアチェーン「勝霖薬品」と業務提携をしており、台中市を中心に店舗数を伸ばしています。北海道は台湾人にとっては憧れの場所です。北海道関係の名前が付いているだけで、人気商品になります。このサツドラも「札幌」というブランド名でお洒落なお店として認識されています。
SAPPORO DRUG STORE 札幌薬粧(サツドラ)の店舗。高鐵南港駅にて。
日系だと思っていました、日藥本舗。
「日藥本舗 (ニチヤクホンポ)」 https://www.jpmed.com.tw
私が台湾に来た2013年の当初によく利用していたドラッグストアが、この「日薬本舗」です。日本製品を中心に販売しています。しかし、後で知ったのですが、「日薬本舗」は日系ではなく、歴とした台湾企業だったのです。勘違いして、わざわざ遠くの店舗まで日本製品を求めて買いに行っていました。しかも日本人の知人に紹介していました。私は「台湾には日藥本舗があるから、風邪薬や頭痛薬を日本からわざわざ持ってこなくていいよ」と適当なアドバイスをしていたこともあります。日本語が全く通じない店舗も多く変だなとは思っていましたが・・。
台北市の西門店には、昭和の薬局を再現した日薬本舗博物館があります。そこは素晴らしい観光スポットです。
日藥本舗 (ニチヤクホンポ) https://www.jpmed.com.tw/
台湾系のドラッグストアチェーン
台湾の現地ドラッグストアチェーンはどうなのでしょうか。
「康是美 COSMEDコスメド」と「屈臣氏 Watsonsワトソン」:
康是美 https://www.cosmed.com.tw
屈臣氏 https://www.watsons.com.tw
この2つのチェーン店は「台湾2強」と呼ばれています。台湾全土に展開し、主に街の商店街に出店しています。化粧品や衛生用品が主力商品です。私が台北に来た2013年頃には、まだ日系チェーンが少なく、この2店で購入していました。日本製品は少なめです。台湾製は目利きが必要ですが価格が安いので節約したい方にはお勧めです。
ワトソンの店舗。日本語はもちろん、英語も通じないことが多く、最初の頃は店に入るのにとても勇気が必要でした。
大規模店舗の POYA 寶雅(ポヤ): https://www.poya.com.tw
最近、店舗数を伸ばしてきた大型店です。郊外店には駐車場もあります。この寶雅(ポヤ)は、一応ドラッグストアですが、医薬品は販売されていません。衣料、文房具、食品の品数は、前に紹介しました「*生活百貨店」と同じく大量です。ヘアドライヤー、美顔器などの美容家電も販売されていることもセールスポイントです。
POYA(寶雅・ポヤ)の店舗の様子。コスメドやワトソンに比べて日本人にも少し入店しやすい雰囲気です。
*生活百貨店についてはこちらの記事をお読みください。
台湾「生活百貨」はグッズの宝庫、日本のドン・キホーテを迎え撃てるか。
台湾の調剤薬局
もちろん台湾にも日本と同じような調剤薬局があります。処方薬の他に衛生用品も売っています。日本と違っているのは、台湾の調剤薬局には「西洋」・「漢方」の2種類があることです。
西洋薬調剤薬局:
西洋医学の病院で処方された薬を受け取れる薬局です。2020年のマスク不足の時には、実名制マスク販売がこの「西洋薬調剤薬局」で行われていました。なんと「抗生物質」が処方箋無しで購入できます。日本人には驚きです。旅行者や一時滞在者にも利用されています。
漢方薬調剤薬局:
中醫(中国医学)といわれる伝統医学の治療院で処方された薬を購入できる薬局です。いわゆる漢方薬局です。私は行ったことがないので詳しいことは分かりませんが、中醫の処方箋なしでも購入できるみたいです。友達は、「痩せる薬」を時々買いに行っていました。漢方の道は大変奥が深いのでしょうか、自分に合う秘薬を見つけるのが難しいそうです。
調剤薬局は街中の至る所にあります。日本語の漢字と同じ「薬局」の看板が分かりやすくありがたいです。
まとめ
日本の風景にもなっているマツキヨが、台湾でも「台灣松本清」として受け入れられてきています。日本製品の優秀さだけでなく、台湾に居ながら日本で買い物している気分にさせてくれる雰囲気作りが上手です。防疫警戒レベルが高かったこの春と夏は自宅で食事する機会が多く、日本製のインスタントやレトルト食品に助けられました。台灣松本清の清掃用洗剤も我が家で大活躍です。まだまだ防疫警戒が続きます。ドラッグストアを上手に利用して健康的な生活を送りましょう。
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