台湾全土の「防空演習」には在留外国人も参加します。コロナ禍2021年は9月15日に。

台湾生活

台湾では、例年の毎年春に「軍民聯合防空演習」が実施されます。軍が主体となって行う実地訓練です。参加者は台湾在住の全員で、拒否することはできません。日本では軍事訓練は身近にありませんが、台湾国民は普通のことのように慌てることなく参加します。今年コロナ禍においても、規模を縮小して9月に「防空演習」が実施されることになりました。毎年、総統も参加するこの「防空演習」が、どのように行われているのかレポートいたします。



台湾に来て知った防空演習

私が台湾に来て、初めて街で「防空演習」に遭遇した時には驚きました。演習があることを知らなかったのです。その日、私は自宅近くを自転車で走っていました。急に非日常的なサイレンが聞こえて、「何かおかしい、早く家に帰らねば」・・と自転車を急がせたのですが、それを警察官に見つかり、警笛とアクションで停止させられました。周囲の歩行者も歩くのを止めて、何と皆さん直立状態です。「えっ、何があったの?私はどうしたらいいの?」と焦りました。緊急事態があったのなら逃げた方がいいのではと思いましたが、警察官の動くなという指示に従いました。5月とはいえ、炎天下で立っているのは辛いので、日の当たらない場所にコソっと移動したら、また警笛で注意されました。しばらくして、もう一度サイレンが鳴り、警察官からから行って良いよと・・、これが私の初めての「防空演習」でした。時間にして10分も経っていなかったのかもしれませんが、とても長い時間に感じられました。

防空演習の意味とは?

「防空演習」の正式名称は「軍民聯合防空・萬安演習」と言います。蔣介石が亡くなり蔣経国が総統に就任した1978年より、毎年1回実施されています。今年は44回目で「萬安44號」と表記されます。1979年に米国を始め各国との国交がなくなり、それ以来、台湾は苦難の道を進んでいるのです。現実です。

日本台湾交流協会からのメールには、「緊急事態に対する危機意識を高めるとともに、緊急事態が発生した際の対応の練度を高めることなどを目的とする」・・と書かかれていましたが、緊急事態が何なのかは、もちろん具体的には記述されていません。推測できますが、あやふやにされています。もし緊急事態が発生したときのために日頃から訓練して、おちついて行動しようということです。実施日は、3週間前くらいに政府から発表され、メディアやSNS、メールで知らされます。

防空演習って何をするの?

防空演習の参加者は台湾の滞在者全員です。台湾国民はもちろん、外国人、旅行者も含まれます。ただし、室内にいる人は訓練に参加する必要はありません。路上や公共場所にいる人と車両が対象になります。「室内の電気を消す」、「屋外では30分直立不動」などの噂がありますが、オフィス内では普通に仕事をしていますし、路上で停止を指示された市民はスマホを見ていたりしています。

従軍している人、軍の関係者は、しっかり銃器を使った特別な軍事訓練を行っています。テレビで訓練の様子を見ました。一般市民は、現場の警察官と係員に従います。ほとんどは、私が体験したようにその場から動かないか、あるいは係員の指示に従って適切な場所に移動するかのどちらかです。駅や街中の交差点では、交通規制と係員による避難誘導が行われます。地下鉄(MRT)や鉄道は、通常通り運行されていていますが、バスやタクシーは停止します。また、鉄道の駅に留まっているように指示されることもあります。屋外にいても、警官や係員がいない場合は何もする必要はありません。訓練が終了するとスマートフオンに終了のダイレクトメッセージが届きます。

2021年、防疫警戒レベル2級下の演習

2021年の防空演習(萬安44號)は、915日に実施されることが決まりました。昨年、2020年も、コロナ禍のために遅れて7月に演習が行われました。今年はもう実施されないと思っていましたが、831日に実施日が発表されました。訓練内容は、午後1時30分から同2時までの間にサイレンが鳴ることと、携帯電話へのメッセージの送付のみになりました。2019年までは、台湾全土で地方別に4日間に亘って実施されてきましたが、今年は台湾全土で、同日、同時刻に行われるそうです。このように縮小はされますが、毎年途切れずに実施し続けることが啓蒙になっているのだと思います。台湾在住の方は、下のリンクをご覧ください。

軍民聯合防空(萬安44號)演習の実施について(9/15):
https://www.koryu.or.jp/news/?itemid=2471&dispmid=5287

2019年度の演習スケジュール:https://i6070.com/1591.html

台湾の兵役

防空演習は軍事訓練の一環です。台湾では、2014年に徴兵制が廃止となり、全募兵制(志願制)に変わりました。しかし志願制とはいえ、よほどの理由がない限り、18歳以上の男子は4か月の軍事訓練を受けることになっています。最近の大学生は、学部を卒業した後すぐに軍事訓練に参加し、その後、卒業旅行というスケジュールだそうです。成人男性のほとんどが軍事訓練を受けているためか、台湾国民は皆この「防空演習」に協力的です。軍事訓練は身近なことと認識されているのでしょう。

警官の指示に従わないとどうなる?

退避命令に違反した者に対しては、同法第25条の規定に従い3万台湾元(12万円)以上の罰金が科せられます。2016年の防空演習に恐竜の着ぐるみで演習の邪魔をしたとして罰金が科せられた事件がありました。下のYouTubeは、テレビのニュースで大きく取り上げられた動画です。その時は一躍、時の人になりましたが、二番煎じ事件が起こらないようにとても厳しく罰せられたそうです。外国人の私たちは、このようなことをしないように特に気を付けましょう。

 

防空演習実施に予定があります。どうしよう。

「防空演習」の実施時間に予定がある場合は、キャンセルしたり時間を変更したりする必要があるのでしょうか。演習では、バスやタクシーが停止するので、その時間を考慮したスケジュールを組みましょう。台湾人の方々は良く分かっています。

私の日本人の知人は「防空演習」を特別な訓練だと思い込み、「その実施日は絶対に予定を入れず家に静かに閉じこもっている」と決めている人がいました。体験した私からすると、そんなに深刻に考える必要は無いと思っています。通常の生活を送りながらサイレンに注意する、周りの人に合わせる、ただそれだけです。台湾の人にとって「防空演習」も日常の一部です。

まとめ

「防空演習」についてレポートいたしました。日本では決して体験できない訓練ですが、何回か経験した今では、大変だとかシンドイいう感想はありません。今年、コロナ禍の縮小された演習では、実際にどれほど効果があるかは分かりませんが、サイレンとダイレクトメッセージをしっかりチェックしたいと思います。私はもちろん、この訓練が役に立つことが無いように祈っています。

あぴり関連記事「2019年防空演習でした。」:https://apily.net/archives/616

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