夕暮れの絶景、台湾西海岸の湿地

台湾生活

台湾の湿地は島の西海岸に集中しています。東海岸は山が多く、その海岸線は切り立った崖だからです。南の海に囲まれた台湾ならではの湿地には、日本では体験できない珍しさがあります。多様な生物が目を楽しませてくれます。また西海岸ゆえ夕暮れの景色は壮大です。10月になって暑さも少し収まり、ようやく郊外の自然が楽しめる季節になりました。秋のレジャーにピッタリな場所は「湿地」、都会の喧騒から逃れてリラックスできる「新竹、苗栗、台中」の國家級湿地を紹介いたします。

とにかく広い。新竹市の香山濕地(國家級)

「香山湿地(日本語サイト)」https://www.hccg.gov.tw/jp/home.jsp?id=12

新竹市の香山湿地は、1996年のラムサール条約会議で「東アジア水鳥保護ネットワーク」に正式に登録されました。全長17kmにも及ぶ広範囲の湿地が、國家級の景観地として新竹市民に愛されています。海岸線に沿って歩道とサイクリングロードが整備されており、引き潮の時には、沖まで牡蠣漁に行く漁師の車も見られます。ここでは湿地特有の珍しい生物が多数生息しています。特に鳥の種類が豊富なので、バードウォッチングが趣味の方に訪れて欲しいスポットです。

この湿地へ行く公共交通機関はバスだけです。残念ながら、バスの本数は大変少なく、夕暮れを見ると最終バスに間に合わないことがあります。「バスに乗り遅れた日本人旅行者が親切な台湾人ファミリーに鉄道の駅まで乗せてもらった」という話を聞いたことがあります。人情の台湾ならでの良い話です。もちろん、他の外国ではお勧めしません。

<併設されているレジャー設備>

飲食店やコンビニのようなお店はありません。休日にはソーセージなどを売る屋台が1件営業しています。飲料水やタオルなどは用意して行きましょう。足を洗う水場はありました。レンタサイクルもあります。

備考:この記事のアイキャッチ写真の、海に伸びている「賞蟹步道」は開放時間が決まっています。満潮時には入場できないのでご注意ください。

最果ての地、苗栗縣の西湖重要濕地(國家級)

「西湖重要濕地」https://bit.ly/3imktOC

この西湖湿地は、台湾鉄道の「後龍駅(無人駅)」から歩いていける便利な場所にあります。ただ一見して観光地とは程遠い景観で、下写真の案内看板が無ければ、國家級の湿地だと気づきませんでした。

観光客は少ないというか、ほとんどいなく、見かけるのは、犬の散歩の人や子供を遊ばせている少しの家族連れくらいです。湿地の水は、とても「とても!」キレイで、非常にたくさんの小魚の群れが泳いでいる様子が良く見えました。私が訪れた日は、ちょうど大潮が引いている時間で、かなり沖まで歩くことができました。潮が引いて、延々と続く干潟を見て、物語に出てくるような「最果ての地」を連想しました。この景色を見ただけで、本当に来てよかったと思いました。

この湿地に訪れる人々は、本当に何もしていません。ただ、ビーチに椅子とパラソルを置いて座って海を眺めているだけです。好きな音楽を流している人、愛犬と一緒に昼寝をする人、スマホのゲームに興じる人と、各々が自由に過ごしていました。すごく贅沢な時間の使い方だと思いました。本当は紹介したくない別世界のような場所です。

<併設されているレジャー設備>
寂れた漁港が隣にありトイレは借りられそうでした。コンビニは勿論ありません。地元の便利商店が地図には載っていますが営業していませんでした。外来者は買えないのかもしれません。海辺にはベンチや東屋もないので、日傘、飲料水、敷物を用意して行きましょう。

話題の観光スポット、台中市の高美重要濕地(國家級)

「高美濕地旅遊網」https://www.gaomei.com.tw

高美湿地は、芝生のある草皮廣場とインスタ映えしそうな吊り橋で、休日ともなればカップルや家族連れで賑わいます。「ウユニ塩湖のような絶景」のキャッチコピーで、団体ツアーが去年まで多く組まれていました(今年はまだ少し我慢です)。私も昨年まで何度か台北から遠出で訪れましたが、遠くに風力発電の風車がシンクロして見える広大な干潟が、とても絵になる風景でした。この湿地の入り口には遊客中心(観光センター)があり、売店や資料館、シアターなどの設備も充実しています。自然科学を学ぶ場所として小中学校の郊外学習に利用されているようです。近くの台中港には「三井アウトレットパーク」が開業し、この湿地と合わせて観光の目玉になりつつあります。

*三井アウトレットパークについてはこちらの記事をお読みください。

台湾アウトレットモール歴5年、人気の新観光スポットに。

<併設されているレジャー設備>
本文中に書いた「高美濕地遊客中心」に「生態体験館」があり、湿地の生態系を学ぶことができます。

台湾の湿地でリラックスできる理由

紹介した3か所の國家級湿地では、いずれも「釣り」や「BBQ」など自然体系を破壊するかもしれない行為が禁止されています。お酒を飲んで騒ぐ人がいないので、静かに海を眺めることができるのでしょう。台湾では「パリピ」と言われる人々が騒げるように、別の楽しい海岸が用意されています。湿地は平和でリラックスできる場所です。

地元の漁師の方々や湿地の管理人さんが巡回して、ルール違反者を注意しているそうです。西海岸では、警察官が、台湾海峡の向こう側からの不測の事態に備えて、パトロールを頻繁に行っています。これがルール違反者への抑止力になっています。

台湾の方々は、湿地を綺麗に残すことに誇りを持っています。世界的に問題になっている海から流れ着くプラスチックゴミは台湾でも問題視されています。これに、地元民と政治家が一体となって取り組み、國家級の美しい自然が守られています。

まとめ

台湾の西海岸の湿地3か所を紹介いたしました。どの湿地も夕暮れの美しさが最高です。カップルで行くなら「高美湿地」、家族連れなら「香山濕地」が楽しめます。仕事で疲れた大人には「西湖重要濕地」をお勧めします。あの奇異な景色を見ると、悩みもふっとびますよ。
子供にとって、「湿地」は楽しみながら自然を学べる大変良い環境です。大人は、自然に触れると頭の疲れがとれるそうです。次の連休の予定は「國家級湿地」で決まりです。


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